忌中払い

スポンサーリンク

そもそも「忌中払い」って何のこと?

忌中払いって、ご存じでしょうか?調べてみると、葬儀後の会食を示す地域的表現のようです。

 

それではよく聞く、精進落しとは同じものなのでしょうか?別物でしょうか?また、どうして葬儀後に食事するのでしょう?

 

 

<忌中払いってなに?>

 

忌中払いとは、精進落し、お斎(おとき)、精進明け、精進上げ、などとも言い、本来は四十九日の間精進(食事は「不殺生」により生ものや肉・魚を避けた料理を食べます)して、亡くなった方の冥福を祈る生活から、忌明けに忌中払いの食事を取って通常の生活に戻るとされていました。

 

ただ、現在では、亡くなった方との別れの食事という意味と、親類やお世話になった方達への慰労や感謝の意味合いが強くなり、葬儀(初七日)の終了後に懐石料理を用意した宴席のことを言うようになりました。また、忌中払いに用意する料理は、精進料理に拘らず、「なまぐさもの(肉や魚)」が入るようになりました。

 

また、忌中払いでは、亡くなった方を悼み、「相手に敬意を表すために杯を差し出す(捧げる)」という意味で、「献杯(けんぱい)」と発声し、飲み物を頂くことになりました。(慶事の「乾杯」に当たります)

 

 

献杯の仕方は以下の通りです。

 

@喪主は献杯の挨拶を行う方を決め(一般的には親類の中で年齢が上の方に依頼します)、依頼しておきます。

 

A少量の飲み物(お酒やビール、ジュース等)を用意します。

 

B忌中払いの席で、喪主の挨拶後、献杯の挨拶を行う方が挨拶し、最後に「献杯」と控えめに発声し、杯を差し出し黙祷します。

 

C発声と同時に全員「献杯」と発声し、同じように杯を差し出し黙祷。その後杯に口を付けます。この時杯は当てないようにしましょう。

 

 

<そもそもなぜ、食事をするの?>

 

忌中払いせよ、通夜振る舞いにせよ、なぜ食事をするのでしょう?慰労や感謝なら、別に食事じゃなくて「献杯」だけでも良い気がしますが、その背景を見てみましょう。

 

通夜時の会食(通夜振る舞い)は、@亡くなった方の前にご馳走を出して再生を願った、という意味 A亡くなった方との最後の会食で別れを惜しむ、という意味 B会葬者に振る舞うことにより、亡くなった方に代わって徳を積み、亡くなった方を供養するため、という意味があったそうです。

 

それらが時の流れと共に変容し、現在では、亡くなった方の関係者が、飲食しながら亡くなった方との思い出話をしながら、ゆっくり追悼する、という意味合いが強くなりました。

 

忌中払いは、亡くなった方との別れの食事と、葬儀後のお手伝いへの慰労が合わさったもの、という意味があります。

 

どちらも亡くなった方とのお別れの食事と慰労を兼ねたものですが、元々昔は「死=けがれ」であり、「けがれ」は伝染する、と考えられていたため、飲食の力を借りて「けがれを祓う」ことを目的としたもののようです。

 

死の恐怖に対抗しようとして行われたと言っても過言ではない、忌中払いや通夜振る舞いの食事。食べることは生きること。食べることで「生きている」という実感を得、亡くなった人の分まで生きるパワーを受けようとしたのかもしれませんね。


スポンサーリンク