忌中や喪中の人に対する行動とは?
日本では、喪中(1年以内に身内を亡くした方)や忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした方)の方は、愛する人を亡くし、外見はどうあれ、内心は悲しみの真っただ中にいます。
そんな時、忌中や喪中の、ただでさえ悲しく傷ついている心を、うっかりした行動や言葉で傷つけてしまい、更なる悲しみを増やしてしまったり、最悪の場合、一生の傷を与えてしまうこともあります。
本当はそんなつもりじゃないのに、忌中や喪中の方を傷つける行動や言葉。それらを一緒に見ていきましょう。
<忌中や喪中の方の、心境とは?>
一口に死別といっても、亡くなった方が配偶者であったり、子供、親(自分のまたは配偶者の)、友人など、その関係性により一概には語れませんし、突然死や病死、自殺、他殺、事故など、その状況によっても哀しみの深さや思いも様々です。
哀しみと一言で言っても、その感情は怒りや無力感、悲しみ、後悔、罪悪感、絶望感、怒り、無気力、混乱、浮遊感、非現実的感など、多くの感情が組み合わされ、常に感情の変動に揺れ動きつつ、なんとかセルフコントロールしている状況なのです。
哀しみ(=悲嘆)が通る過程は、次のように言われています。
初期:混乱・パニック 第一期:苦悩 第二期:抗鬱(こううつ) 第三期:無気力 第四期:現実直視 第五期:見直し 第六期:自立・立ち直り
「時は薬」というように、時と共にどんな悲しみも徐々に癒えていくとは分かっていても、忌中喪中など、その渦中にいる方には苦しく辛く悲しく、自分を支えることに必死な方もいることを念頭に置きましょう。
また、「時は薬」ではなく、更なる悲しみに入り込み、最悪亡くなった方の後を追ってしまう方も残念ながらいらっしゃいます。そんな不安定な気持ちを抱えた忌中や喪中の方には、どんな行動や言葉を取るべきでしょうか?
<忌中や喪中の方に対する行動 その1:寄り添う>
あまりの哀しみと絶望の渦中にいらっしゃる忌中や喪中の方には、自分の感情をコントロールすることがやっとであり、どんな慰めも思いやる気持ちも、残念ながら伝わらないことが多いようです。
そんなときは、多くを語らず、静かに寄り添うことも大切です。今は辛くて悲しいと思うけど、一緒にいるからね。何かあればすぐに言ってね。いつでもここにいるよ、という気持ちで哀しみを共にしつつ寄り添います。
それは物理的にそばにいるだけでも、それらの言葉だけ掛けて見守る、ということでも良いでしょう。出しゃばらず、静かに寄り添う。そんなあなたの行動は、忌中や喪中の方には、一番嬉しいことなのかもしれません。
<忌中や喪中の方に対する行動 その2:拝聴する>
忌中や喪中の方に対しては、まず死別の哀しみの中にある人には、様々な感情が千変万化しつつ、たえず揺れ動いていることを理解し、その時の感情を否定することなく、その思いや感情を素直に表現してもらうことが大切です。
亡くなった方への哀しみは、愛情が深ければ深いほど正常な気持ちの動きです。無理に哀しみを抑制されたり、否定されると、心に深い傷を抱えてしまうことも多いそうです。
何もしないのではなく、忌中や喪中の方の哀しみの気持ちに寄り添いながら、亡くなった方の思い出や自分の哀しみを訴えるお話を、積極的に傾聴することも重要な行動です。
また、拝聴するだけでなく、亡くなった方と面識があり、その方との思い出があれば、そのことをお話しつつ一緒に偲ぶ、という行動も、忌中や喪中の方には嬉しいものです。ただ、自分のお話は控えめにし、傾聴することに重点を置くようにしましょう。
<忌中や喪中の方に対する行動 その3:無理矢理、励まさない>
よく、「人は誰でも死ぬものだから、仕方ないよね。早く元気になってね」などと、哀しみから立ち直れていない忌中や喪中の方を、安易に励ましたり、自分の考えを押し付ける行動は控えましょう。
「人はみな死ぬ」などという話は、健康なときであれば「そうだよね」と納得する言葉ではありますが、いざ自分が当事者になれば、身を切られる思いで、その言葉に接しなければいけないかもしれません。
忌中や喪中の方は非常に言葉や行動に敏感になっており、ちょっとした不用意な言葉で傷つきます。それが励ましの言葉であってもです。
励まされなくても、忌中や喪中の方は必死に自分の感情をコントロールしながら、哀しみを抱いても、生ていかなければなりません。その心情を考えれば、安易な励ましや慰めよりも、一緒に寄り添い哀しみを共にすること。そのほうがよほど励ましや慰めになると思うのですが、如何でしょう。