忌中や喪中に旅行に行ってはダメですか?
日本では、喪中(1年以内に身内を亡くした人)や忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした人)は、「お祝いごとは控える」とか「派手なことは避ける」という風習があります。
実際自分が喪主に近い立場になってみないと、この大変さは分かりませんが、葬儀・告別式・お墓のこと・遺産分割・遺品の整理などなど、本当に大変です。心も体もクタクタになり、変な話、あまりの辛さに逃亡したくなります。
そんな大きな嵐を乗り越え、一息ついたら、「温泉でもいって、ぼーっとしたい。。。」と思うのが人間です。ここまで頑張ってきたんだから、亡くなった方も大目に見てくれるだろうし。私が故人なら、どうぞどうぞ、行ってきなさい、と言いたくなります。
でも、色々調べると、「忌中までは遊興は控えましょう」と書いてあるものもあります。一定期間亡くなった方の死を悼み、喪に服して身を慎むのがしきたり、とのこと。これって本当に旅行にも当てはまるんでしょうか?
<旅行に行ってはダメってホント?>
喪中の期間は、明治時代の法律「太政官布告(だじょうかんふこく)」に定められていて、現在も目安のひとつとして、広く使われているそうです。
ただし、この法律は、昭和22年に廃止されており(男尊女卑が色濃く出ている法律だった為、廃止されました)、現在では単なる「目安」ですが、念のため見てみましょう。
服喪期間一覧
故人が父母・夫の場合:13か月
故人が祖父母(父方)の場合:150日
故人が妻・兄弟姉妹・祖父母(母方)の場合:90日
・・・妻より父方の祖父母のほうが服喪期間が長いというのも驚きですし、夫と妻では10か月も違うとは!男女平等の世の中では確かに受け入れられない法律ですね。
この忌中や喪中の期間は慶事を避け、亡くなった方の死を悼み、喪に服して身を慎むべし、と記載されているそうです。
でも現代では、具体的な忌中や喪中の範囲や期間が法律で決まっている訳ではなく、そのタブーの範囲も現在では限られています。旅行などはそもそも記載がない事項。
明治時代に一般庶民が忌中や喪中にフラフラと旅行に行くこと自体があまりなかったので、そもそも旅行という縛りもなかった、というのが本当のところだと思われますが。
ただ、遊興=旅行と解釈し、忌中や喪中に旅行に行くだなんて不謹慎だ!と怒る方もおられると思いますが、決まりが無い以上、その人の心次第、ということになるのは自然なことだと思われます。
<それでは、旅行に行っていいの?>
私個人的な意見ではありますが、法律での決まりもないですし、そもそも忌中や喪中に旅行に行くな、という記載すらないのですから、特に問題はないと思います。
むしろ愛する人を亡くし、途方に暮れ、自宅で鬱々とした日々を過ごして体調を怖し、鬱になっていくよりは、気分転換も兼ねて温泉にでも行き、一時でも癒されるのも良いのでは?と思います。
そもそも、亡くなった方は、自分の愛する残された方達が、自分が亡くなったことにより悲嘆に暮れ、精神状態がボロボロになっていくのを見たい筈はありません。
自分の分まで強く、そして明るく元気に幸せに、生きて欲しいと願っている筈です。むしろ楽しそうに旅行する姿を見て、逆に喜ぶかもしれません。自分だけ、と気になるようでしたら、遺影と共に旅行すれば良いのです。
亡くなった方の人生は、確かにこの世では幕を下ろしたかもしれませんが、あなたの人生はまだ幕が下りていません。人は幸せになる義務があると思います。そう、権利ではなく「義務」なのです。
亡くなった方の死を悲しみ、喪に服すことも良いですが、亡くなった方の分まで強く生きること、もっと幸せに生きること、それが亡くなった方からも受け取った命のバトンを引き継ぐ者の義務だと、思いませんか?