忌中と七五三

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忌中や喪中に「七五三」のお祝いをしても大丈夫?

日本では、忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした人)や喪中(1年以内に身内を亡くした人)は、お祝いごとを避け、静かに亡くなった方の冥福を祈る期間であるとされています。

 

でもこの忌中や喪中に、大事な子供の七五三が重なった場合、やはり「お祝いごと」を避ける意味で、七五三も取り止めたほうが良いのでしょうか?それとも「子供の成長を祝うお祭り」ゆえ、祝ってもいいのでしょうか?

 

 

<七五三って、そもそもどんな行事なの?>

 

七五三(しちごさん)は、7歳、5歳、3歳の子供の健やかな成長を祝う日本の行事ですが、そもそも七五三って、どんな行事なのでしょうか?

 

数え年3歳(満年齢が2歳に当たる年)は、「髪置きの儀(かみおきのぎ)」を行います。これは江戸時代、生まれてから3歳までは髪を剃る習慣がありましたが、ついに3歳になり、この習慣を止め髪を伸ばし始めるという儀式です。こちらは男女共に祝います。

 

数え年5歳(満年齢が4歳に当たる年)は、「袴儀(はかまぎ)」を行います。男の子が袴を着用し始めるという儀式です。こちらは男の子のみ祝います。

 

数え年7歳(満年齢が6歳に当たる年)は、「帯解きの儀(おびときのぎ)」を行います。女の子が成人同様の幅の広い帯を結び始める儀式です。こちらは女の子のみ祝います。

 

この儀式は江戸幕府5代将軍の徳川徳松(綱吉の長男)の健康を祈って始まったという説があり、それが京都・大阪に広まり、やがて全国に広まったとされています。

 

本来は数え年で行う場合が多かったのですが、最近では、満年齢で行う場合も増え、あまりこだわらなくなって来たようです。このように定義が画一化されていない子供の成長を祝う儀式ですので、11月15日という日付も目安であり、その前後に行われることも多いようです。

 

11月15日という日付は、旧暦の15日は鬼宿日(鬼が出歩かない日)に当たり、何事をするにも良い日とされていたこと、更に11月は収穫を終えて、氏神に実りを感謝する月であることから11月15日になった、という説もあるようです。

 

 

<なぜ七五三という行事があるの?>

 

それでは、なぜ七五三という行事は発生したのでしょうか?近世までの日本は、栄養不足や医学の知識不足、貧困などにより、乳幼児の生存率は極めて低かった為、「この年まで生きられた!」という節目のお祝いとして定着したようです。

 

 

男の子の5歳のお祝いが女の子の7歳のお祝いより先にあるのは、後継者としての意味もありますが、男の子の生存率が女の子より低かったからだそうです。また、最後の節目のお祝いが7歳の理由は、「七歳までは神のうち」という考え方が根底にあったから、と考えられています。

 

「七歳までは神のうち」という言葉は、先程も記載した通り、乳幼児の死亡率が高く、七歳くらいまでは「あの世とこの世の境にいる存在」であり、「神様の心次第で、神様の元に帰ってしまう存在」と考えられていたからです。

 

よって、乳幼児が亡くなった時は、現世へのしがらみが少なく、すぐに転生すると考えられていた為、転生への妨げにならぬよう立派な墓ではなく、簡素で独特な水子供養として弔ったと言われています。

 

つまり七五三は、死亡率の高い時代において、一定の区切りの年まで生きられた子供を祝福し、立派な大人になることを祈るという、親の子供への愛と感謝が籠った、とても大切な行事だと言えましょう。

 

 

<忌中や喪中に七五三を祝ってもいいの?>

 

それでは、本来お祝いごとを避けるべき、忌中や喪中に「お祝いごと」である七五三を祝っても良いのでしょうか?基本的にはお祝いは避けるべきではありますが、一緒に一度の子供の儀式です。最近は「ささやかになら」祝っても良いのではないか、という風潮が強まっているようです。

 

七五三に該当する子供に綺麗な着物や晴れ着を着せてあげて、写真を取ったり、大々的にではなく「ささやかに」お祝いすることは全く問題ないようです。ただ、忌中は、神社への参拝は忌中は避け、50日祭の忌明け後に行うほうが良いでしょう。

 

忌中は神社への参拝を控えることは、愛する身内を亡くした方が沈んだ暗い気持ち、つまり「気枯れ」ている状態で神様と接するのは避けましょう、ということが本来の意味です。忌中は遺族が穢れているから、とか、汚いから、神社に来るな!という意味ではありません。

 

ですので、七五三の参拝は忌中明けの「気枯れた」状態から脱した頃に行い、忌中に七五三の時期が重なったら、晴れ着を着た子供の写真を取り、ささやかにお祝いする。

 

喪中だから忌中だからと七五三のお祝いを一切禁じるより、生きている親兄弟や親戚だけでなく、亡くなった方も一緒に子供の成長を見守って祝福してくれる、そんな素敵な日にしたいと思いませんか?


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