忌中や喪中の間、クリスマスを祝っても大丈夫??
「忌中や喪中の期間にクリスマスパーティやクリスマスの企画が運悪く重なってしまいました!出席してもいいのか、悩みます…」こんな経験はありませんか?
そもそも忌中や喪中の概念は、宗教によって異なりますし、そもそも『クリスマス』の過ごし方や捉え方も、キリスト教信者と仏教・神道の信者、或いは無宗教者では全く違います。まずは、そのあたりを紐解いてみましょう。
<そもそもクリスマスって何?>
クリスマスは、キリスト教のイエス・キリストの誕生を祝う日で、「降誕祭」とも言われています。言葉の意味は「キリスト礼拝」だそうで、キリスト教徒にとってはとても大切な日となっています。(ちなみにキリスト=救世主、という意味です)
ただ、本当に12月25日がキリストの誕生日かというと、新約聖書にもキリスト誕生の日の記載はありません。どうやらこの日に定めたのは、ローマ帝国の皇帝・コンスタンティヌス帝(在位306年〜337年)が、帝国を再統一し、専制君主制を発展させる為、キリスト教を公認したことが発端のようです。
彼は325年のニカイア公会議でキリスト論に関する教義を整理し、ミトラス教(=ペルシア起源の太陽神・ミトラスを崇拝する密儀宗教。コンスタンティヌスの頃流行していましたが、キリスト教の布教と共に衰退しました)の祝日である「不滅の太陽の生誕日」12月25日をキリストの誕生日と解釈し、制度化したそうです。
かなり乱暴なように見えますが、救主(すくいぬし)=キリストは「義の太陽」と予言されていたので(マラキ書4章2)、この解釈から太陽神とキリストの融合という解釈が成立したと考えられています。
様々な宗教を取り込みつつ、人心を掌握し、更に1つの宗教体として統一したほうが、国の統一や政治の安定には欠かせませんからね。さすがコンスタンティヌス「大帝」と呼ばれる政治家だけあります。
更に彼は、キリスト教徒の礼拝日である「主の日」を、ミトラス教徒の太陽崇拝の日と融合させ、321年に公式に週1回の役人の休日と定めたそうです。これが日曜日の始まり、と言われています。
話が逸れましたが、要するにクリスマスは純粋に神の子=イエス・キリストの誕生を祝う、宗教的に神聖な日なのです。決してどんちゃん騒ぎしたり、恋人と甘い夜を過ごす日ではないのです(笑)。
<忌中や喪中にクリスマスを祝っていいの?>
そもそも、クリスチャンに忌中や喪中という概念が存在し、クリスマスを祝うことを躊躇するのでしょうか?実はクリスチャンの場合、死は永遠の別れではなく終わりではありません。
クリスチャンにとっては、信仰があれば死者は神に召され天国へと旅立ち、神の国で再び会えると信じられています。ですから「お悔やみ」という言葉自体、相応しくないのです。
一時的にお別れする悲しみ、寂しさはありますが、もう二度と会えない、という絶望的な悲しみではない、とも言われているのです。よって家族の死(忌中・喪中)とクリスマスは別物と考えられているのです。
ということで、クリスチャンにとっては、忌中であれ喪中であれ、クリスマスはお祝いするようです。
それでは、クリスチャン以外の人々は忌中・喪中のクリスマスはどう過ごすべきでしょう?忌中の方(近親者が亡くなってから神道では50日、仏教では49日)は、そもそも仲間内で大騒ぎのクリスマスパーティを開く気持ちにもならないと思いますので、そのような会は欠席したほうが良いでしょう。
喪中の方(近親者が亡くなってから1年以内)の場合は、やはり「慶事は控える」との言葉通り、「どんちゃん騒ぎのパーティ」や派手な行為は控えれば、気持ちに余裕があれば出席しても大丈夫です。
そもそもクリスマスは家族と共に、静かにキリストの誕生を祝う宗教的な日。忌中や喪中のクリスマスは、クリスチャンではない方々の場合、静かに故人と縁のある方々と共に故人を偲ぶ日、としてみても良いかもしれませんね。